横浜最後の街頭紙芝居師、故・鷲塚師匠の思い出

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 ”横浜最後の街頭紙芝居師”といわれる故・鷲塚隆師匠が亡くなり秋には5回目のご命日を迎えます。ご逝去される3か月前、7月29日に自身が所蔵する高価な街頭紙芝居250巻を寄贈された横浜市歴史博物館で、お披露目の「鷲塚コレクション街頭紙芝居上演会」が開催されました。会場には、刈田均主任学芸員が入院先の病院から鷲塚師匠を送迎してくださいました。夏の日差しの中、横浜市歴史博物館の玄関前で刈田さん運転の車から降りた師匠をお迎えして、私は胸がいっぱいになりました。

 紙芝居は刈田学芸員が横浜の大衆文化としての「鷲塚コレクション」の意義と概要を説明され、その後に私が鷲塚師匠の”十八番”の「幸運の少女」と「少年スピード王」を上演させていただきました。終演後に師匠は、お客様に”もっと拍手をして!””一生懸命やってんだから!”と。本当にありがたいです。

 当時上手ではない私の紙芝居。でも、私をかばってくださいました。街頭紙芝居の「幸運の少女」は鷲塚さんが一番気に入って、大切にしていた演目の一つです。私の上演はこの時が最初で最後です。「いいよ~、やりなよ!」、いつかどこかで師匠の声が聞こえてきたらまた上演させていただきます。

 平成22年の夏、刈田学芸員のご紹介で初めてお会いした「大紙芝居展」で、鷲塚師匠は「街頭紙芝居を上演したいです!」という私に、「自分の紙芝居を使ってもいいよ」「でも金儲けに使ってはダメだよ」「世のため人のために使って」とおっしゃいました。私のことを何も聞かずに、何の疑問も心配も口にせずに使用を許して下さいました。

 本当にありがたく、嬉しく感謝を今日まで積み重ねています。刈田学芸員も故・鷲塚さんの寄贈の際の希望である「街頭紙芝居を上演して次代に継承して!」「ただ保管・所蔵するだけでなく市民に残して!」という思いを誠実に、博物館を挙げて実行されています。年頭に、私にとって一番大切なお二人の写真を掲載してこの一年の私の精進の決意といたします。ありがとうございます。頑張ります!