桜前線が日本列島に春を運んでくれました。負けないで!超えて行きます>令和2年6月18日



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春風や 闘志いだきて 丘に立つ    高浜 虚子


三寒四温。”感染症”の話題で出口のない思いに沈みがちな私達の気持ちとは別に日本の季節は春に向かっています。冬と春の境界は見えませんが心を澄ますと、春の鼓動はビリビリと五感を揺らします。もうすぐ、もうすぐ・・!春の力は、恐怖や不安、混乱や動揺、そして悲しみや怒りのマイナス・エネルギーさえも跳ね返し、前向きの力に変えてくれます。今、友人の中にも出口のない絶望感や焦燥感を感じている方がいます。閉塞感は思い詰めると気力もなえてきます。でも不思議です、つぼみを膨らませた桜の一枝を見つけるだけでその部屋のドアの鍵が、自分の手の中にあることに気が付きます。ガチャリと鍵穴にあてて回すと、ギィイィ~ッと扉が開き、春の風が吹き込んでくるような気がします。一日、一日。一年、また一年。新しい春を迎えることのできるささやかな喜びがあふれます。



どこやらが冬 どこやらが春の雲       後藤 比奈夫



白き皿に 絵の具を溶けば 春浅し      夏目 漱石



早春の 海へ手を振る 駆けて振る      猪又 秀子



春の富士 ふはりと揺るる 駿河湾      濱中 千恵

   
 

青年時代、強者の”横暴”や世の中の”不正義”に怒りが沸騰して抑えることができませんでした。眼に見えるモノ、マスの変革だけが社会改革だと信じていました。人ひとり、その心に向き合うことができませんでした。そして自分の心にも・・。

この感染症、”コロちゃん”騒ぎで2月から私の紙芝居は、”子どもの文化研”の紙芝居を除きすべて中止となりました。7年前から上演を続けた地元図書館のラスト上演会も中止です。でも、こうして休ませていただき大きなエネルギーを頂いた!と思いました。7年間で終止符を打ったのは私の希望で故・鷲塚隆師匠が遺した街頭紙芝居を心あらたに一人のお客様にお届けしたいと、願ったからです。逆風のようなマイナス条件を、前向きに切り替えていく力と知恵を持つ。それが大人になる、ということかもしれません。私がそれにやっと気が付いたのは、幾時代かが過ぎ去った頃でした。そのことをしっかりと、忘れず前に向かっていきます!


行く春や 在るがまま 又為(な)るがまま   佐野 不老


山頭火の 丸きめがねや 山笑う        松川 早苗


税すこし 戻るしらせや 山笑う        早矢 仕美代


ぐるりとまはつてきて こぼれ菜の花       種田 山頭火

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菜の花や 帰らぬ僚機 待ちし丘         加藤 竹紫