平成27年6月1日
一年の折り返し6月。紫陽花を富士が見守ります
故・鷲塚隆さんが横浜歴史博物館に寄贈された街頭紙芝居250巻の中には”昭和の子ども達”の人気シリーズ「時代劇・チャンバラ」紙芝居が約50巻含まれています。特に徳川幕府の265年間はチャンバラ・スターの宝庫、「丹下左膳」「鞍馬天狗」など私の記憶の引き出しには、時代劇映画や街頭紙芝居のスター達が今も輝きます。その江戸期に最盛期を迎えた「狂歌」は「川柳」や「和歌・俳句」とともに私たち日本人の心を世代を超えてつかみます。その「狂歌」の代表作者の一人が「蜀山人(しょくさんじん)」です。大田南畝(おおたなんぽ)、四方赤良(よものあから)などの名を使い分けた彼は、江戸の文化文政期の文化人であり、また幕府の下級武士として宮仕えしていた別の顔を持っています。”酸いも甘いもかみ分けた”蜀山人の世界に触れると、私たちは肩の力が抜けて、ストレスも軽減して頭痛や肩こりがなおります。さあ、いらっしゃい!江戸狂歌の世界へ。
いざ飲まん あたらし肴(さかな) 今年酒 酌は女房のちと古くとも
(浅草千則)
わが禁酒 破れ衣となりにけり さしてもらおう ついでもらおう
(蜀山人)
朝もよし昼もなおよし晩もよし その合い合いにチョイチョイトよし
(蜀山人)
とかく世はよろこび烏(からす)酒飲んで
夜が明けたかあ日がくれたかあ (蜀山人)
酒が過ぎて体調悪化と一緒に、やっと気が付く人生の秋。「それみたことか!」とお小言が聞こえてくるようです。
酒ならぬ薬をのみてみる月は 雲よりもうき風の神かな (唐衣橘州)
いつ見てもさてお若いと口々に ほめそやさるる年ぞくやしき
(朱楽菅江)
煤取りて弓は袋におさめたり せめくる老を何でふせがん
(唐衣橘州)
善もせず悪も作らず死ぬる身は 地蔵もほめず閻魔叱らず
辞世 (式亭三馬)
今までは他人が死ぬとは思いしが 俺が死ぬとはこいつぁたまらん
辞世 (蜀山人)