平成25年10月1日の記事

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酷暑の夏がようやく終わり、季節は秋に変わります。秋は収穫の喜びの季節とともに、人生の一息つく転換点にもたとえられます。富士山も澄んだ大気の中で”秋桜(コスモス)”の花々に囲まれ人の世の移ろいと、生命の消尽(しょうじん)を見つめています。


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  まつすぐの道に出でけり秋の暮  高野 素十
 

 明治から大正・昭和を駆け抜けた「詩人 金子みすゞ」は秋の素晴らしい詩を残しました。山口県に生まれ26歳で早逝した詩人の魂は、わかりやすい言葉で、やさしく温かく平成の時代に生きる私たちの心に語りかけます。

 

秋は一夜に

秋は一夜にやってくる
二百十日に風が吹き
二百二十日に雨が降り
あけの夜あけにあがったら
その夜にこっそりやって來(く)る

舟で港へあがるのか
翅(はね)でお空を翔(か)けるのか
地からむくむく湧き出すか
それは誰にもわからない
けれども今朝はもう來(き)てる。

どこにゐ(い)るのか、わからない
けれど、どっかに、もう來(き)てる

          
           「金子 みすゞ童謡全集」




 
 10月にはお世話になった故・鷲塚 隆師匠の一周忌が巡ってきます。めくるめく街頭紙芝居の世界。「空想科学冒険シリーズ」「少年スピード冒険活劇」「大スぺクタル時代活劇」そして血涙を絞る「少女・母名作シリーズ」など等、横浜歴史博物館に寄贈され、時代を超えて活用を快諾されたご遺志にあらためて感謝を深くいたします。

 そして今。”人生の秋”を迎える私も、それでも"決して捨てたもんじゃないよ”と口にできるようなユニークな紙芝居の世界に挑戦を続けます。きらりと光る希望、夢、再生の生命が感じられる身近な世界、紙芝居の宇宙を演じてまいります。

  故・鷲塚師匠が託した街頭紙芝居とその思いの継承を願って・・・。

 この道や行(ゆ)く人なしに秋の暮  芭蕉 

     最近”鳥目(とりめ)”気味の私。
     日暮れて道に迷わぬよう注意しなきゃ・・・・。