平成28年8月1日
向日葵(ひまわり)を支えし棒も傾けり 桜井 博道
向日葵はお年寄りにも子ども達にも人気の花です。人間の顔のように大きな花。そしていつも太陽に向かって屹立するイメージは迫力満点です。でもそんな花を支える太い茎が少し傾斜するだけで、ちょっと小首をかしげるようなしぐさに見えるのが楽しいです。季節は夏。向日葵が笑うと、夏の富士山も一緒に微笑みます。
にんげんが好きで向日葵よく笑う 村上 子陽
日本の大衆文芸に俳句と川柳があります。どちらも17文字。うーん、と唸らせる俳句に対して、川柳はテンポとリズムが躍動、”おかしみ”が凝縮されて華を咲かせます。江戸時代の川柳集「誹風柳多留」が有名ですが特に子どもがテーマとなる句は、率直で自虐的な大人の楽しさがあふれます。江戸の時代も今も共通する親ごころです。
這えば立て立てば歩めの 親心 (誹風柳多留45)
這えば歩めが駆け出して 母苦労 (誹風柳多留135)
蝶を子が追えばその子を 母が追ひ (誹風柳多留102)
子どもの健康な成長はとにかく家族の一大事。”真綿(まわた)”でくるむように育てるわが子のことで、叱られるのはいつもお父さん。
子の寝冷えよく日 夫婦喧嘩なり (誹風柳多留11)
寝つく子を側であやして 叱られる (誹風柳多留50)