平成28年2月15日
この山に道あればゆく小春かな・・
冬の到来です。冷たい雪や厳しい風は心を剛(つよ)く、負けない心を育ててくれます。挫折があっても、打ちのめされても立ち上がる。行く手を阻む吹雪にも、たじろがずまっすぐ道を歩みます。”アッ!この道はもう誰かが歩いた道だ”、と気付く時、その踏み跡の雪が輝いて見えます。雪の結晶が宝石のように輝きます。きっと、どなたかがもっと厳しい風雪の中を歩いて下さった、と思うだけで勇気がドンドンと湧いて、感謝があふれてきます。人生の中で何度も経験してきた冬の風雪や、少しばかりの山坂に引っこんではいられません。道があるのだから歩いていきます。立ち止まってはいられません。冬だからこそ、雪や風が背中を押してくれます。さあ、冬よやって来い!一日、一秒を大切にその冬に身をゆだねます。胸いっぱいの感謝で楽しみます。
雪嶺の光や風をつらぬきて 相馬 遷子
”風花(かざはな)”。青空にまばらにちらつくその雪片は花のように可憐です。そして、やさしくあたたかく語りかけます!
風花の大きく白くひとつ来る 阿波野青畝
眠る山ある日は富士を重ねけり 水原秋桜子
大北風(きた)にあらがう鷹の富士指せり 臼田亜浪
結婚した次女が遠方に住居を得ました。”北風”に負けずに一歩、一歩。でも頑張り過ぎないで・・
生涯の居を得て熱き根深汁(ねぶかじる) 大須賀浅芳
寄せ鍋に夜汽車の友の座を残す 野尻正子
おでん酒あしもとの闇濃かりけり 久米三汀
去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの 高浜虚子
初日まつ心しずかにたかぶりぬ 高安風生