平成27年2月4日

初富士や悲しきまでに遠きかな    山口青邨

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手の届きそうな近くに見える厳冬の富士が、春になり霞が立ちのぼる季節には不思議に遠くに見えるようになります。年の瀬から新春を迎えて、寒さは一層厳しく実感されるものの自然は、徐々に一歩づつ春に近づいています。それは胸突き八丁の坂を超えて、やっとまた次のスタートに向かうのと同様に安心感と心臓の高鳴りを感じます。人生で厳しい寒さの中にも温かさを感じるひと時があります。それは家族や友との触れ合いのひと時でしょうか。貧しくとも温かく、忙しくともやさしい心のふれあいです。以前、このような句に触れて心が熱くなった記憶がありました。私も今、見える言葉と見えない言葉、そして大きな力に支えられて冬から春へと時間の”扉”を開いてまいります。新しい未来に向かって!


田辺聖子の人生あまから川柳より

  友だちは買ってもらった子の寝顔     木下愛日

  貧乏を子もうすうすは知っており     川上三太郎

  貧しさもあまりの果(は)ては笑い合い  吉川英治

  出世せぬ男と添うた玉子酒      薮内千代子


 

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 地に低く幸せありと福寿草         伸秋

 梅一輪一輪ほどの暖(あたた)かさ     嵐雪