平成27年10月1日

稔りの秋。感謝で、心熱くして・・

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朝に夕に、心を奮い立たせるように冷えこむ秋は、”秋桜(コスモス)”がよく似合います。赤、ピンク、薄紅、そして赤紫色とやさしく豊かな色どりは満点の四季の贈り物です。桜のあでやかなドラマ性に負けない美しさです。花びらの一枚ごとに、どこかで生まれてひっそり花を咲かせ、時代をつないでいく健気な生命を感じます。その秋桜のかなたの富士山が一日ごとに遠くに見えはじめると冬が近づきます。その冬を、胸いっぱいの感謝で乗り越えていきたいです。


   また山が遠くなりゆく花野かな      大橋 桜坡子



”秋桜”、可憐な名を持つ花は、やさしくあたたかく語りかけます!

   
   コスモスの数より多く見せて風        嶋田 一歩

   はなびらの一つ一つの秋桜          只野 柯舟

   コスモスや妻がやさしく子がやさしく     日野草城



”秋”の思い出は、高校現代国語の”飯田蛇笏”の一句

   芋の露(つゆ)連山影を正しうす       飯田蛇笏

   をりとりてはらりとおもきすすきかな     飯田蛇笏

   くろがねの秋の風鈴鳴りにけり        飯田蛇笏



蛇笏の四男”飯田龍太”は二人の兄を病気と戦争で失い、幼い次女も失いました。失意の中から、回復した龍太ですが、それでも六歳くらいの子を見ると、「悲しみは消えて、ひたすら懐かしく、時には思わず立ち止まって(その子を)ぼんやり眺めている」自分に気づいた、と。秋は悲しみを心の底に沈ませて、冬を超える力を与えてくれます!

   
   どの子にも涼しく風の吹く日かな       飯田 龍太

   初夢のなかをわが身の遍路行         飯田 龍太



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