令和4年12月31日

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空のすみゆき 鳥のとび 山の柿の実 野のたり穂 それにもまして あさあさの つめたき霧に肌ふれよ 頬(ほほ) 胸 せなか わきまでも (中野重治詩集「十月」)


青年の頃、作家の大江健三郎を愛読していた。その全集の巻頭写真の裏に中野重治の「十月」の詩が大江によって手書きされていた。向こう見ずでまっすぐ。傷つきやすく、”生き下手”な当時の自分に、この詩は心に沁みて奥にしまい込まれた。こんな風に受け止めてただ生きればいいんだ!それから幾時代か過ぎて、今まためぐる10月。思わず笑っちゃう、高齢者の”脳トレ川柳”に背中を押されて秋の風の中を出発進行!


歩けてる つまずきながら 世の中を    鹿丸(73歳)


よたよたと 切ったテープが 百本目    ダジー(100歳)


ストレスの 主がストレス ないと言う   大昔乙女(76歳)


我身ほめ 前進あるのみ 八十路行く     スーさん(82歳)


「生きてるか」 田んぼのカエル 聞いてくる    佐賀の風(73歳)    


ただ前を向いていれば「前向き」じゃあない、しっかりと顔を上げて前を見つめる。肌で、体で風を感じて波を受け止めて、波の彼方を見つめる。そうすれば途方もない大波が来てもヨイショ~!と越えていける。イヤ、越えられなくても「オ~イ、大波来るぞ~!」と教えてやれる。災厄に”一矢(いっし)報いる!”。どうせこっちは、”苦節10年”どころじゃアない!”屈折20年”だ~ア!


分らんが 「おっしゃる通り」と言っておく    竹之内恵美子(74歳)


素うどんに 決めているのに メニュー見る    奥田よし(73歳)


日記には 記さず心に 書く日あり        村田 鮎子(77歳)
 
 

聞く耳を 持つが解釈 自分流          小春日和(78歳)

要するに 雨が降るのか 降らぬのか    土谷 誠之(85歳)

”照り降り”を予想する天気予報。それが当たり外れは当たり前。今年のように梅雨がたちまち明けたと思ったら、二回目の梅雨だって。そして炎天燃える夏の猛暑が続きました。このHPもトップページを更新するいとまなく10月の到来です。年を重ねても落ち込まず、ふさぎ込まず、後ろ向きにならない!心の中の”言葉”を磨き続けて、周囲に優しく、温かな言葉をかけていきましょう!言葉を研ぎすますと、グサッと周囲を傷つける。高齢者の”言語傷害罪!”。


眠れない 言うなよ日中 寝すぎだよ       宍戸 洋子(81歳)


刺激より タマネギ高値 涙出る         糸切れ凧(76歳)


期待値を 修正しつつ 夫婦仲          ぽんぽん山(84歳)




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