国策紙芝居研究者高瀬あけみ氏の連載を読む

画像の説明 画像の説明

画像の説明

 子どもの文化研機関紙「子どもの文化」4月号に高瀬あけみさんの「紙芝居発展史③」が掲載されています。在野の研究者として国策紙芝居の実像を丹念に掘り出しながら、埋もれていた新しいドラマを見せてくれます。そこには、いつも優しい眼差しが印象的です。今回は、「どんぐりと山猫」(宮澤賢治原作・鈴木景山脚本)の画家宇田川種治(うだがわたねじ)の物語です。
 この紙芝居を見たのは一昨年の秋、山口県萩市の第2回ふるさと紙芝居全国大会でのことでした。文化研の鈴木孝子さん、”のまりん”こと野間成之さんとご一緒した時ですが萩・明倫学舎の会場で魅力的で味わい深い実演に驚きました。以来、もう一度彼女の上演が見たいと追いかけていましたが、昨年10月13日(日)に予定されていた神奈川大学第2回公開講演会は接近する台風のため延期。次の日程の今年2月29日(土)は、新感染症の拡大に伴う中止と事故が重なりました。何という不運なことか。実はこれ以外に3年以上前、高瀬先生が講師役で神奈川大主催の国策紙芝居研究の会が開かれましたがこの日も台風が首都圏を直撃しました。大学は午後休講となり、講演会はなんとか開催されたものの終了後は激しい風雨の中を鈴木孝子さんと東横線の運休を心配しながら駅に急ぎました。その時から、私は高瀬先生を”嵐を呼ぶ女(ひと)”とひそかに呼ばせていただいています(ゴメンなさい!)。
 驚きはまだあります。今回の論考では「宇田川種治は77年前(1943年)の2月10日に31歳で感冒のため逝去」、そして「わずか15日後の2月25日に発刊された作品が”どんぐりと山猫”である」と。本当に不思議ご縁です。しかし今回も上演が延期されたことでさらにまた新しい出会いを私に予感させてくれます。この紙芝居は私達が直面する新感染症とその困難な復興の先に出現する新しい世界を伝えてくれる紙芝居の一つになるかもしれない、と。私は「どんぐりと山猫」の再演を待ちます。ただ待つだけでなく私もしっかりと実践に踏み出しながら・・。(今回国策紙芝居の資料を見直して、これと同様のご縁を感じる出来事に気が付きました。さてそれは何でしょう。次回のプログでご紹介したいです!)