なつかし亭を見る

この夏は、歴博「絵はがきあれこれ」“風景を伝える持ち帰る”で締めくくり

 ふるさと横浜の歴史や文化、庶民の暮らしをいきいきと今に伝える横浜歴史博物館。今年の夏は、9月11日【日】まで企画展「絵はがきあれこれ」“風景を伝える、持ち帰る”が開催されています。なつかし亭も8月31日、厳しい残暑の中、大人気の“絵はがき展”を見学しました。

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 とにかく面白い。タテとヨコで10数センチの世界の中に風景や生活、人々の思いまでがギュッと詰め込まれている絵はがきは小さな宇宙です。

 第一部は明治・大正期の横浜の原風景を特集。そして郵便制度の歩みと絵はがきの歴史を紹介しています。ガラスケースにはスイッチを入れると、バックライトで月と花を愛でる妖艶な婦人が浮かび上がる“変わり絵はがき”も展示されています。

昭和の旅の絵はがきで、心の旅を楽しむ

 展示ケースいっぱいに並べられた北海道から九州・沖縄までの各地の風景絵はがきの展示には圧倒されます。日本の近代化で全国に整備された鉄道交通網を利用した旅が私達の暮らしの隅々に浸透してきたことがよく分かります。
 なつかしい、昭和の日本の美しい風景があふれています。

絵はがきに、悲しい戦争を見る暑い夏

 大陸から太平洋戦争へと拡大する戦争の宣伝手段としても絵はがきは使われました。戦意高揚の勇壮な絵に混じって、漫画で兵士の日常や訓練の様子を明るくユーモラスに描いた多くの絵はがき。そして対比されるように展示される兵舎内の実際の兵士の表情を映す絵はがき、そこには能面のような若者達の表情から張りつめた厳しい日々がのぞけます。
 戦後66回目の暑い夏に、あらためて思う昭和の戦争でした。

中央:刈田さん、スタッフのみなさん いつでも、どこでも溢れる笑顔

絵はがきに込める、なつかしく温かな昭和の時代

 この企画展を担当したのは主任学芸員の刈田均さん。昨年の夏は「大紙芝居展」~よみがえる昭和の街頭文化~を開催して、日本全国から絶賛の声が寄せられた“名物学芸員”。今年は、大震災の影響でしおれがちな私達に、絵はがきを通して人と人とが向き合い、支え合うなつかしい世界を展示のメッセージに託して発信してくれました。 
 
 

なつかし亭寄贈の絵はがきも展示中

 昭和の絵はがきは、大好きな「紙しばい」にもどこか似ていると感じます。大切な人に、特別な人から届けられる絵はがき。そして半径3メートルの方へ肉声のメッセージが身上の紙芝居。どちらも、スローな時間の楽しさと豊かさを伝てくれます。

 実は、なつかし亭も父や祖父からのプレゼントや旅の土産として大切に保管していた風景絵はがきや軍隊生活を描いた「演習漫画絵はがき(荒井一寿:画)」等を今回寄贈させていただきました。

 それらを上手に料理してくれた刈田さん。大事な家族の思い出を最高の展示に変えて下さったその手法と情熱。刈田さん、本当にすごいです。ありがとうございます。

施設スタッフのみなさん、感謝です

 またいつも歴史博物館を訪問するたびに、笑顔であたたかく迎えて下さるスタッフのみなさんありがとうございます。おかげで、なつかし亭の感謝と嬉しさであふれる夏も終わりそうです。これから秋に向かって、紙芝居の巡業もスタートです。みなさんに負けずに頑張ります。

企画展の期間は、平成23年9月11日(日)までです。見学はまだ、間に合う!お問い合わせ 電話045-912-7777