平成30年3月25日
いきなりや 顔いっぱいに春の富士 松村 幸一
韓国の冬季オリンピックで日本選手団旗手を務めた小平奈緒さん。彼女のスケーティングは一瞬の光のように心の映像に残ります。彼女が以前口にした言葉の一つ、「競技力より、人間力を強くしたい!」。もちろん、人間力は競技技術の練磨・強化の過程に獲得できるものという専門家の見立てがあるでしょう。しかし、記録という目に見えるものに対して”人間力”は不可視の力です。異なる意見を受け入れ不安を越えて、恐怖に打ち勝ち磨かれる力です。その”心の器”を大きくする努力が彼女を成長に導き、負けない心を育てたのかもしれません。だからこそ厳しい冬を越えた春は成長の季節。これまでの自分に別れを告げて、出発に立つ春です。
まだ足にそわぬ革靴 春浅し 鈴木 由美子
卒業式来るなと云ひし 子の背丈 宇山 隆子
日雇いの母見つづけて 卒業す 猿田 道男
人前で泣かぬ子となり 卒業す 野坂 民子
弥生三月は桜の季節の始まりでもあります。心躍る花の季節にあと一歩。でも3月11日の東日本大震災が、私自身の7年間を問いかけます。このホームページの出発も7年前。それまで”半径3メートルの宇宙”で伝えることに思いを込めていた私でしたが、慣れないHPに取り組みました。出来うるならば、時と空間を越えて伝えていきたい・・と。出会いと別れ、喜びと悲しみ、そしてめぐる季節はまた出発の時を教えてくれます。
赤ん坊のばんざいに似て 山笑う 河野 香苑
身の回りできる幸せ 弥生かな 細谷 竹雨
早春へ オカリナもいいシャンソンも 永井 千恵子
早春や 枯れたるものに光あり 永尾 宋斤
春とはいえど三寒四温。冷たい風があればこそ、春の足音が響きます。桜のつぼみも、ゆっくり、ゆっくり成長して下さい!焦らず、急がず、一歩一歩でいいからね。
さくら待つ弥生の冷(ひえ)の きびしさに 高林 佳都子
ゆっくりと我が影を踏む 弥生かな 坂下 とし子
悟空乗るごとき浮雲 春山路 伊藤 文郎