平成25年3月11日の記事
桜の季節がめぐってきました。東日本大災害から2年目の春を迎えます。
さまざまのこと 思い出す桜かな 松尾芭蕉
この句の悲しみが心に溢れます。
でも、福井県で生まれた幕末の歌人 橘 曙覧(たちばなのあけみ)は貧しく厳しい生活の中に生きる喜びを歌いました。
たのしみは朝起きいでて昨日まで
無かりし花の咲ける見る時
たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどい
頭(かしら)ならべて物をくふ時
たのしみは三人(みたり)の児(こ)どもすくすくと
大きくなれる姿みる時
“たのしみは”で始まる句は、春の桜のように心を和ませてくれます。素晴らしいですね。そして桜の花も・・。自分の心が嬉しさに満ちてくると、目の前の困難や苦しさがささやかなものになってきます。越えて行く勇気がまたあふれ出てきます。
やさしく、あたたかい紙芝居の世界で精進いたします!
私も紙芝居に出会い、“横浜最後の街頭紙芝居師”といわれた故・鷲塚隆師匠が愛し、求めた紙芝居の世界に精進してまいります。
紙芝居は、“半径3メートル”のささやかな世界ではありますがお客様の心に向かって読み手の世界が限りなく広がる世界でもあります。作家・脚本家の井上ひさしさんの次の言葉をよくかみしめて、またスタートの春を迎えます。
むづかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをゆかいに
ゆかいなことをまじめに
鷲塚師匠の愛した街頭紙芝居の世界を胸に刻み、またこの言葉を演じ手としても忘れることなくこの一年の日々を過ごしてまいります。