令和7年3月30日

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二度と来ぬ この一年や 年忘れ    井上 孝子

今日日傘 明日は雨傘 二刀流 稗田阿礼(川柳)。天候不順に加えて猛暑、残暑が不安や混乱の時代の底をさらに抜く。でもやっと冬の季節、気づけば年の瀬。幼い頃、昭和の時代の記憶は、もっとあわただしく喧騒に満ちていた。長時間労働と休みの取れない勤労者は仕事納めは28日、美容院や店員・職人衆は大晦日の31日まで働いて元日を迎え、翌日の二日はもう初荷でスタートだ!紙芝居のオジサン達も、仕事始めにやって来た!



  
エレベーター開き 師走の 客となる       永野 真智子 



 
チンドン屋 師走の子供 ひきつれて       安東  操 


冬銀河 大三角の 揺るぎなく          河田 澄子 


初恋の 人も老いたり 年忘れ          野口 葭子 


笑い泣き いたわり合いて 年忘れ        江川 よしみ


鉤(かぎ)裂きの なんとかなるか 革ジャンパー 古川 塔子(川柳)

まだまだ貧しい昭和の下町。普段は10円玉ひとつの子どもの小遣いが、一桁違うお年玉に変わるのがお正月。水あめ、梅ジャムせんべいが飛ぶように売れる。街頭紙芝居にも熱がこもる。オジサンは次々と謎々クイズを繰り出した。長~い板に血が付いている絵が登場。「さァ、何だ!」擦り切れたジャンパーと地下足袋姿でオジサンが吠える。「い、い、イタチ・・!」自分の声が緊張でかすれる。でも必死で答える。オジサンは、うなずいて表情を変えずソースせんべいをくれた。当たりダッ!やった!お礼と挨拶は忘れるな!口やかましく、普段から言われてはいたが大事な時には、飛んでしまう。忘れられないお正月だ。


初夢に 故郷を見て 涙かな            小林 一茶 


初夢や 家事ロボットの ボタン押す        浅岡 芙貴代         



          
初夢の 誰にも言えず うふふふふ         柴田 美代子      


良寛の 春といふ字を 筆始め           稲荷 島人
 


   

時代劇 「江戸」ではなくて 「昭和」です   あきら(川柳)

「衣食足りて礼節を知る」のは道理であろう。オジサンも子ども達も、生きることが精一杯の時代。お礼も挨拶もあったものか。しかし、今は形を変えて別な意味で深刻かもしれない。謎々クイズは次の問題に移る。青空に向かって槍が1本描かれている。天を突く槍だ。答えは、テンツク、テンツクで太鼓!わかりやすくて、後味がすっきり。それが理想の形だと今も思う。なつかし亭の紙芝居の謎々クイズは手作りしているが出典は江戸の謎々から自作している。正解を聞いて、あ~ァとため息が漏れるのは失敗作。お~ォ!と感嘆のどよめきが起こるのを夢見て、今年も精進、精進!!


ワ・ハハハハ という名のクスリ よく効いて   メダカ丸(川柳)


ダイエット できる豊かな 世に生まれ      ピアノ(川柳)


一握の 幸いで良し 年の豆           塩坂 和子


「鬼は外」 病みたる夫の 声の張り       酒井 美知子


われに棲む その時どきの 鬼は外        夏  礼子


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