春四月。新緑がしたたる府中の森で、紙芝居…!


カチカチカチ!拍子木を鳴らして府中の森博物館のケヤキの大樹周辺を歩く。子ども連れやカップルに紙芝居開演の声掛けを重ねる。さわやかな四月の風が吹き抜けるが、日差しは汗ばむ初夏のような午後。少ない来園者の中から、なんとか腰を下ろしてもらい紙芝居が始まる。
「横浜から来ています!」「最低挙行人員は1人です!」「でもその一人がいないと始まらない」「だって、誰もお客がいないとアタシの独り言になっちゃう!・・・頼みますよ」。そう言われて苦笑して、腰を下ろした人もいるだろう。でも始まれば5人、10人、15人と集まってくれる。それが街頭紙芝居の真価、真面目に違いない。
横浜最後の街頭紙芝居師、故・鷲塚隆師匠は「お客はガキ大将に連れてきてもらう」と言っていた。そして、今の時代では考えられないような水飴や薄焼きせんべいの食品販売が始まる。ソースや梅ジャム付きのせんべいも売っていた。”コミュニケーションの対面販売”の魅力が、不衛生やいかがわしさにまさって心に残る。
今日は各回15人、20人の方々に愉快痛快、笑顔爆発の紙芝居を上演したつもりだが、一番盛り上がったのは「江戸の判じ物クイズ」だった。出題のほとんどに正解が出た。観客の勝ち!景品用に準備した粗品も払底した。商売の紙芝居オジサンだったら、赤字で失業しただろう・・・そんなことを考えながら、帰路についた。