「ねぎぼうずのあさたろう」紙芝居の思い出

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 今から9年前。児童絵本の「ねぎぼうずのあさたろう」(福音館書店)に熱中しました。作者・飯野和好先生の一連の人気シリーズの中でもひときわ”紙芝居”にピッタリの作品であることが理由の一つです。もうひとつ、絵本のトビラの紹介文。それを”旅ゆけば~駿河の国に茶のかお~りィ”と。ご存知、”二代目広沢虎造”の名調子の節で読んでくださいと、飯野先生のご指定です。これは私のために描かれた”絵本”、と勝手に狂喜したのです。
 子どもの頃から浪曲、とりわけ”虎造節”が大好きで森の石松の代参から、「三十石船」。石松が「見受山鎌太郎」の貸元から三十両の金を預かって、「都鳥三兄弟」との運命の出会い。そして金をだまし取られて「お民の度胸」に救われたものの、「閻魔堂のだまし討ち」で非業の死を遂げるまでのくだりは今でも諳(そら)んじています。私は”絵本”にすっかり”はまって”しまい、飯野先生にお手紙を出しました。
 「紙芝居仕立ててで絵本を上演したのです」「ついては絵本の拡大コピーとセリフを一部変更することをお許しください」。もちろん商業目的でないことはお約束いたしました。”福音館書店”担当者からは、「無理だと思いますので」とのことでしたが、先生から書店を通して「著作権許諾」をいただきました。本当にありがたかったです。私は、この拡大コピー版の絵本を最初に東京江戸川区で最後まで街頭紙芝居をされていた永田為春先生ご夫妻の前で上演しました。妻のヨシさんは「日本人には浪曲の節回しはなじみがあるからねェ」と感想を言ってくださいました。本当に嬉しかったです。
 昨年、故・梅田佳声先生の第一回右手和子賞授賞式の会場で、粋な着物姿の飯野和好先生をお見かけして、直接、その時のことを心からお礼申し上げました。
 私は、今日まで紙芝居を通して多くの方にお世話になっていることに気が付きます。この感謝を、いつかお返ししたいです。いつの日か、手元の「廻しがっぱ」と「長脇差」を身にまとい全国巡業、あさたろうのように旅に出たいと思います。では、ごめんなすって!・・と。