「チョコレートと兵隊」上演させていただきました

画像の説明 画像の説明

画像の説明 画像の説明

 日本を戦雲がおおい始めた昭和13年頃から20年の終戦まで、国策紙芝居が全盛を迎えました。貸出・頒布の演目は600種を超えたと言われます。内容は多岐にわたり戦争遂行、国体護持に加えて町内会会合の運営方法まで文字通り,全国民総力を挙げ大人から子どもまでが国策紙芝居に結集した時代です。

 その中で最も親しまれ著名な紙芝居の一つが「チョコレートと兵隊です」。公開研究会では約40人のお客様を前に私に続いて「闘う母」を森内直美さんが上演の後、石山幸弘さんが「戦争中、紙芝居はどこでどう演じられたか。群馬や東京の実例」をテーマに講演されました。「紙芝居文化史」の著者である石山さんによれば、膨大な紙芝居は”戦争犯罪者”としてほとんどが焼却されたとお聞きしました。

 このまぼろしのような”名作”をどのように演じればよいのでしょうか。70年前、国策紙芝居が消えた荒廃した戦後の街には街頭紙芝居が再生し、それは現在の教育紙芝居へと継承されていきます。国策紙芝居の向こう側には横浜の故鷲塚隆さんをはじめ、多くの名もない庶民の顔が浮かびます。

 当日、皆様にご挨拶の後、私は街頭紙芝居のように演じようと心に決めました。鷲塚師匠のようにお客様に顔を晒し、演じてきた”息づかい”で上演しようと決めました。よかったか、悪かったか。でも当時の国策紙芝居は地域の世話役、婦人会、学生に交じって街頭紙芝居師も上演をしていたと聞きます。終了後、「それでいいんだヨ」。鷲塚さんの声が聞こえてくるような気がしました。感激です。私の”暑い夏”も終わります。子ども文化研究所の皆様には本当に感謝しています。紙芝居を続けて来て、よかったです!!