平成30年12月19日

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海越しに 富士を浮かべて 秋の空       藤田 つとむ 


いつのまにか季節が移ります。秋の風が吹き抜けます。季節は、”まるごと全とっかえ”ではなく少しづつ控えめに、でもしっかりと風と空気と光を秋に切り替えてくれます。街に出て不思議とすれ違う人の中に、思い出の方々に似た面差しの人に出会うのも秋です。振り返ればつい昨日までお世話になった大切な方々。ひそかに師と思い尊敬し、私淑した教育紙芝居の金字塔”右手和子先生 ”。街頭紙芝居の大先達、私を「子どもの文化研究所」にご紹介して下さった”一代の名優”梅田佳声先生。そして”横浜最後の街頭紙芝居師”、師匠の鷲塚隆・・・。時がめぐり、時代が変わっても私の心の中に生きている方々。鷲塚師匠の七回忌の10月、ひときわ思いを深くしています。


   門を出て 故人に逢ひぬ 秋の暮      蕪  村


   前を行く 人に覚えや  秋の暮      大橋 敦子


    ふりむきもせぬ子 見送り 秋の暮     島田 青子


    めくるめく 自分史重ね 星月夜      高木 祥恵 
 

 

8年前の春、一人で台北市陽明山の認知症高齢者施設に紙芝居を持参して訪問しました。現地の多くの方に応援していただき、初めての海外巡業ができました。それから台湾への旅を重ねています。この秋にも台北市を訪問。その時の現地の新聞”自由時報(2018.10.21)”に「台湾の高齢者24万人が老人が老人を介護する”老々介護”の状況」と報じていました。まだ2300万人の国民の1%です。でも若い国である台湾でも高齢化の波が寄せていることに驚きました。”コミュニケーション・ツールとしての紙芝居”その効用を台湾に伝えたいです。公正で自由と人権が尊重され、人としての礼節や思いやりに満ちた人々。紙芝居のやさしく強いメッセージ力を伝えたいと願う秋です。


    わが中に 道ありてゆく 秋の暮       野見山 朱鳥


   吾にもありし 制服の日々 鰯(いわし)雲   大橋 敦子


   団栗(どんぐり)の寝んねんころり ころりかな   一 茶


   団栗(どんぐり)も 美人不美人 ありにけり   高忠 小

  

秋は冬に向けて、よきエネルギーを蓄積する時期です。気力も、体力も、夢も希望も口から飛び出るほどに、詰め込みたいです。いよいよ冬に向かいます。これまでに巡り遇った多くの方々そして、時代を越えて消えていった多くの関係者、お客様、先達たちに感謝を込めて時は秋!街頭紙芝居が始まります!


   秋の夜の 海かき回し 出帆す        西東 三鬼


    爽(さわ)やかに 大道芸の 気合かな     大高 霧海


    宇宙への ツアーの夢を 星月夜      中島 美津子


    天高く 往くべき途を いざ往かん     景山 筍吉


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