令和2年12月31日

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ひまわりの 最敬礼で 夏が行き   秋山 敞子


10年前の夏。平成22年7月24日(土)から9月5日(日)まで横浜市歴史博物館で”よみがえる昭和の街頭文化”をテーマに企画展「大紙芝居展」が開催されました。横浜最後の街頭紙芝居師と言われた故・鷲塚隆さんと刈田均学芸員の名コンビが巻き起こした街頭紙芝居の風は全国津々浦々に衝撃波となって吹き抜けました。”半径3メートルの宇宙”の魅力とともに、昭和の貴重な有形民俗文化財を資料として保存・管理するだけにとどまらず今も演じることで次代に継承する、”生態展示”の先駆けとなりました。


炎天や 肩書のなき 名刺出す       松本  青雲


嘘言えぬ顔 向日葵が 覗(のぞき)をり  岩波  竹渓


にんげんが好きで 向日葵 よく笑う    村上  子陽
 
 

この「大紙芝居展」。私も最終日のシンポジュウムで「紙芝居は時代のそよ風」~人と人をつなぐツールとしての街頭風紙芝居~のテーマで参加。実演者としての視点で、コミュニケーションの対面販売として想像を超える魅力とともに、紙芝居を通じて人と人がつながり、そして人と人とをつなげる無限の可能性をパネラーとして訴えました。それから10年・・・。今も、街頭紙芝居と鷲塚師匠との感激の邂逅、あの夏の日を思い出します。


反骨や 遠き己を 夏の雲        国分 葭穂



吾と犬 ともに老いたり 夏の雲     平林 静子



夏の雲 ポパイの腕の 力瘤(こぶ)   野田 恭子


鷲塚さんからは多くのことを学びました。言葉や理屈ではなく、生きる知恵ともつながる人間性でしょうか。知らない人とも笑顔で雑談をする。自分に言い聞かすように”独り言”を言う。昼食の代わりに、漬物で缶ビールを飲む。若いころに”もてた”話を、嬉しそうに話す・・・。すべて私には足りないものでした。結局、仇敵も味方にしてしまうような魅力あふれる方でした。10年目の夏がまた記憶に重なり年を重ねます。


主夫終えて ビール一缶 日が沈む     岩本 晴行


耐えに耐え 笑顔で返す 年の功      浅井 八千代


良い人を やめたら肩が 楽になり     菅山 勇二

 

あんたもかあ 同病と知り 仲直り     松村 和子


「べつに」しか 言わぬ孫とは 絶好じゃ  高木 喬


若者の マジチョウーヤベエは 日本語かい    ワンリュウ


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街頭紙芝居”鷲塚コレクション”が「横浜市有形民俗文化財」に指定。時代を越えて大切に継承させていただきます!

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横浜歴史博物館には”横浜最後の街頭紙芝居師”といわれた故・鷲塚隆さんが寄贈された”街頭紙芝居”253巻と”自転車舞台他”の貴重な資料が市民の財産として、保存されています。それらが平成27年11月13日、横浜市有形文化財に指定されました。全国でも数少ない紙芝居遺産の快挙です。加えて、貴重な紙芝居のレプリカを作り市民に公開・上演することで保存している施設はこの横浜以外にないと伺います。関係者の皆様の尽力に心から感謝いいたします。鷲塚さんから「金儲けに使ってはいけないよ」「世のために人のために使って」と電話で、私の紙芝居利用を許諾していただいた時のことは、忘れられません。感謝で、感謝で次代の横浜市民に継承させていただきます。

秋から冬に季節は変わり・・