令和元年11月30日

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吾にもありし 制服の日々 鰯雲     大橋 敦子 


秋が出たり入ったり、10月に入ってもなかなか鮮やかな秋には出会えませんでした。でも11月の声を聞き、やっと秋も本番です。北国には雪のたよりと同時に、横浜でも朝夕には身が引き締まる冷気を感じます。そんな時に、友人からショート・メールを受けました。”カトちゃん、家を出ます!”と。何ということでしょうか。老境に入り、身じまいの秋を迎えて、離婚?別居?まさか!「野ざらし紀行」に出立する芭蕉翁の決意、「野ざらしを 心に風の しむ身かな」の心境を自身の思いとして何か一大決意をしたのかと、心臓が高鳴りました。



   なだめつつ 延長保育 秋の夜      佐藤 和江



   ふりむきもせぬ子 見送り 秋の暮    島田 青子



   傾聴力こそ営業の技 秋高し       名久井 充



    疲労困ぱいの ぱいの字を引く 秋の暮  小沢 昭一


 

団栗(どんぐり)の ねんねんころり ころりかな   一茶

思えばそれぞれ、様々な人生のフエーズがありました。その局面や場面は似ているようですべて異なります。自分が成長するにつれて遭遇する諸相も成長、いや悪質になっているようで落ち込みます。まるで変異していく”耐性菌”のようです。でもやっと、気が付きます。目の前の人や物、それぞれに対してムキになって向かっていく自身の「心のクセ」に気づきました。家族に言われたことがあります。「なぜNHKニュースを見て嘆き、怒り、いきどおるの?」「自分で背負い込む必要はないのでは?」と。隣国の大国の横暴やそれに虐げられる人々を見ると許しがたい思いがつのりました。でも最近までその”考え方を変える”ことは難しすぎて出来ませんでした。でも”受け止め方を変える!”そのことに気が付くと心は楽になりました。受け止め方を変える、とは深く深呼吸して”何を伝えてくれようとしているのか?”と心を切り替えることです。


     どんぐりも 吾もころげて 世にはあり    三条 羽村


     門を出て 人行く方へ 秋の暮        田中 王城


     しんしんと しんと一人の 秋の暮     淀縄 清子


秋の季節は、春と同様に出発のときだと思い至ります。春はとりあえずダッシュのように走り出し、走りながら考えますが秋は沈思黙考しておもむろに右足、左足と踏み出します。こっちでよいのかな~、いや、あっちかな~と・・・。せっかく一年の稔の季節を迎えてたじろぐ自分がいるのは、もったいないです。もう、心のクセ”から解放されましょう。あれこれアタマで考える癖、落ち込む癖、小さなことに嘆く癖、ささやかな行き違いに怒る癖。そんな癖はみんなまとめて、西の空へ飛んで行っていただきましょう!そして心新たに”秋のシュッパツ!”です、と自分の心に大きな声をかけました!はあ~い。返事が返って来たようです。(さて、そこでカトチャンのメールですが、続報があります。その顛末は、横浜駅東口での飲み会に通院のため遅れたそうです。あせって当日のメンバーでない私にメール送信したようです。よかったね!)


      日めくりを 一気にはがし 夜の秋    讃岐 節子


      あなたには 素直になれる 星月夜     柿内 芳子


      目くるめく 自分史重ね 星月夜     高木 祥恵


 

      


  

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